日雇い派遣の人々
メディアで報じられる日雇い派遣では
・ネットカフェ難民
・低賃金
・不安定
・重労働
などが大きく扱われています。
表現が大げさですが間違ってはいません。
しかし報じられているほど暗く、刹那的で絶望的な世界でもありません。
まず、ネットカフェ難民ですが、私の周りにはいませんでした。
報じられて問題になっているのですからいるにはいるのでしょうが、一部と思われます。特にTVは大げさなうえに影響力も強いですから、ちょっと煽られてる感があります。

次に低賃金と不安定についてですが、確かに一日7000円弱の給料は決して高いとは言えません。しかし、その額が定期的に入ってくるのであれば、暮らせない事はありません。
普通、派遣会社は一日だけの単発の仕事とずっと同じ所で働く長期の仕事を持っています。
運送系や揚重などは人手が必要な時とそうでない時がありますが、倉庫などは慢性的に人が足りず、ずっと同じ人に来てもらう事を望みます。
そういう長期の仕事の人材を確実に確保する事は派遣会社にとって信用度を上げる大事な事柄なので、労働者が希望すれば大抵、紹介してもらえます。
つまり、長期の仕事を探し、相応な生活レベルで暮らしていれば、そうそう人間以下の生活にはなりません。
日雇い派遣に従事していて生活が破綻しているのは、病気などの不慮の事態以外は本人が原因である事が多いのです。

最後の重労働についてですが、これは派遣先の専業が生業としている事の補助を手伝うわけですから、これを人間以下の労働と言うのは専業の人に失礼です。

 
 



日雇い派遣には様々な人がいます。
どのようなジャンルの人が、何をキッカケに日雇い派遣になったのか、簡単にまとめてみました。

元会社勤め
現在は、これが異常に多いです。
ある日、ふと考えるところがあったのでしょう。
もしくは元々、窮屈な会社勤めが肌に合わない人達だったのかもしれません。会社の外に漠然とした夢をみて「次は別の業種に」と、再就職のあてもなく辞めて、「再就職までの繋ぎ」として日雇い派遣をやりだすのです。
わずか2,3年で会社を辞めてしまった過去を持つため、「次は絶対辞めないような会社を」と必要以上に再就職に慎重になっている人が多いです。
そうしているうちに日雇い派遣のなかにコミュニティが出来上がり、その世界が日常になってしまい結果居座り続ける、というのが主なプロセスのようです。
新卒
多くは学生時代からアルバイトとして働いていて、卒業と同時にメインの仕事として働く、という感じです。
中には就職に失敗してとりあえず日雇い派遣へ、という人もいます。このあたりだけを見ると「不景気のせい」とも言えます。
しかし、精一杯就職活動したけど就職できず仕方なく日雇い派遣へ、という人はあまりいません。大抵は自分の人生の方向を決めかねてまともに就職活動していない人が多いです。
あと学生のうちに日雇い派遣の実情を見て「意外と普通の人が働いている」という事を知ってしまった事が日雇い派遣を身近に感じさせてしまった、というのがあるでしょう。
外からのみの「きつく苦しい人達が蠢く世界」という見解だと卒業後、そこへ自ら入ろうとはしませんから。
夢追人
主に演劇人や、音楽人などです。
こういった人たちはアルバイトなら、何処の職場にもいますが、日雇い派遣にも例外なく多いです。特に舞台やライブを定期的に開催している彼らにとって、シフトに穴を空けて申し訳なく思う、という煩わしさのない日雇い派遣は好都合な仕事なのでしょう。
目的があり、モチベーションが高い人が多いのですが、不定期な収入のせいで生活がままならず、結局他の人より多く現場に出てベテランの中心人物になってしまっている人も多くいます。
どちらが本業だかわからなくなる前に別のアルバイトを探したほうが賢明なような気もします。
その他、変り種で仕事の少ない作曲家やグラビアアイドルの卵、という人もいました。たぶん、こういうのは都内限定なんでしょうけど。
ちなみに、某会社ではお馴染みの話ですが、壊れてる性格で有名な某俳優も日雇い派遣出身とか・・・。
その他
●上京組
おそらくネットカフェ難民になっている多くはこのタイプでしょう。
何の当ても無く上京して、とりあえず生活が落ち着くまで都内の日雇い派遣に登録。というパターンです。
これは断言しますが、日雇い派遣で生活は落ち着きません。
働けばその日の内に日当が貰えるので、引っ越し後に生活資金が尽きていたとしても何とかなりますが、人は順応します。日払いに慣れてしまうのです。
どうせならできる限り、安定した稼ぎ口を探して、土日などの空いた日に当面の生活費を稼ぐという方法がいいです。
一ヶ月くらいなら休まなくても人間は死にません。
●自由人
何故、日雇い派遣を始めたのか、よくわからない人達です。
裏ビデオを売りさばいたり、運び屋の経験があったり、と過去の経歴を聞けば聞くほど、考えている事がわからなくなります。
それさえあればやっていけるだろう、と思われる技能資格を持っている人が多いのも特徴です。
何処にいても何故か生きていけた経験からか、借金を背負っていようが住む家がなかろうが、全く悲惨な雰囲気がありません。それどころか、人生楽しそうです。
愛すべき性格の人が多いのですが、色んな意味でムチャクチャで依存体質の人が多いのであまり近づき過ぎると自分の生活までムチャクチャになります。
 


以上のように、日雇い派遣には様々な人がいます。
どの人にも共通して言えるのは「とりあえず」「繋ぎとして」というのがキッカケです。「繋ぎ」は長くやると「繋ぎ」じゃなくなります。

大きな夢を見る事は必要です。それの実現に向けて努力する事も必要です。それが無くなった国は活気がなくなります。
しかし、夢を叶えるには「目標」と「計画」、そしてその夢に相応する「実力」が必要である、と私は思います。
       
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